アミアカルヴァ行政書士法人 代表行政書士 竹原庸起子です。
近畿地方の山村に住んでいる30代の男性Aさんからの、「もう住まなくなる家を売ってほしい」旨の相談。空家のままにしていても税金が安く済むとは限らないこと、リスクが大きいことについてAさんに説明したことを述べましたね。そして、相続人のEさんの所在が分かり、Aさんから手紙を書き返事待ちであることもわかりましたね。その後1か月ほどしてEさんの子であるCさんから手紙が届きました。その手紙の内容は・・・・・・?
空き家と相続 第2話 |コラム|アミアカルヴァ行政書士法人 (amiacalva.jp)
の親族関係を確認してください。
<アミアカルヴァ行政書士法人のサポート~本人に意思を確認して、「代償分割」を考えましょう>
Cさんからの手紙にはこんな内容が書かれてありました。
「おじいさんが亡くなって、私の母(E)が相続人であること知りました。おじいさんの家の名義をAさんだけのものにするということですが、母にも本当は権利があるのではないかと思います。まったく何ももらえず遺産分割協議書に母が実印をおすのはちょっと。。。。。少し補償みたいにお金で欲しい」という趣旨のことがストレートに書いてありました。
Aさんがアミアカルヴァ行政書士法人相談員に、こういう場合どうしたらいいのかと聞いてきました。
アミアカルヴァ行政書士法人相談員はこれに対して、次のようにアドバイスしました。
ポイントは2点です。
まず1点目は、この手紙はEさん本人からではなく、その子どもであるCさんからのものであることです。この手紙での申し入れをどのように扱うのかですね。
そして2点目は不動産の名義をいらないというかわりにお金を渡すということができるのか、法的になにか問題があるのかどうか。。。。。ですね。
アミアカルヴァ行政書士法人の相談員はこれに対して、次のようにアドバイスしました。
まず1点目についてです。相続人はEさんですので、Eさんご本人がそう考えているのかどうかを確認すべきことです。Eさんが寝たきりである、意思表示ができない状態であるなどであれば遺産分割協議ができない可能性がありますし、本人がどう考えているのかが重要です。これについてはAさんは、Cさんからの手紙に添えてありましたCさんとEさんの電話番号に電話をかけて確認できそうです。
そして2点目についてです。これは「代償分割」という方法がとれそうですね。
「代償分割」は実務上よくあるケースです。
「代償分割」とは、「遺産の分割にあたって、共同相続人などのうちの1人または数人に相続財産を現物で取得させ、その現物を取得した人が、他の共同相続人などに対して債務を負担するもの。」を言います
( 国税庁ホームページNO4173より
No.4173 代償分割が行われた場合の相続税の課税価格の計算|国税庁 (nta.go.jp)
)
もっとわかりやすく言えば、相続人全員の話し合い(遺産分割協議)の結果、法律上きまった相続分(法定相続分)より多く遺産を取得した相続人が他の相続人に対して、代償金を支払うことです。つまり、今回のケースでは空家をAさんだけの名義にする、つまりAさんは法律上決まった取り分よりも明らかに多くもらうので、そのかわりにEさんはお金をくださいとストレートに言っているのです。
不動産は法律上の相続分で共有で持ち分を取得すると、その後の管理処分のときに全員の合意が必要となるためおすすめできませんから、代償分割という方法は効果的です。
代償分割で気を付けていただきたい点があります。それは、遺産分割協議書の書き方です。遺産分割協議書でAさんだけのものとする旨だけではなく、「代償分割としてだれからだれへいくら支払うのか、その時期」を書いておく必要があります。代償として支払う旨書かれていないと、贈与がおこなわれたのかと思われてしまいますから。
こういう場合の遺産分割協議書での代償分割の載せ方について下記のように例示しますね。ご参考になさってください。
上記の不動産につき、相続人 A が取得、相続登記をし、これを売却した後、その売却代金につき、相続人 E に●分の1の割合で代償金を支払う。なお、上記不動産の売却及び売却後にかかるすべての実費などの諸費用、税金等(不動産売却による所得税含む)は、相続人 E が2分の1の割合で負担する。 代償金の支払い時期は、不動産売却後及び諸経費等の額が確定した後とする。
代償分割でAさんがEさんにいくら支払うのか、話し合いで決まったようです。このあとスムーズに手続きが進んだのでしょうか。続きは次回のお楽しみに。