会員コラム

空き家と相続 第3話 私が固定資産税を支払ってきたんだから、権利取得しやすいはず!?本当でしょうか?

空家の所有者は10年前に他界。そこに住み続けている長男。転勤になったので売りたいなあ。このままで売れる?~増え続ける空家の売却で気をつけること

 アミアカルヴァ行政書士法人 代表行政書士 竹原庸起子です。

近畿地方の山村に住んでいる30代の男性Aさんからの、「もう住まなくなる家を売ってほしい」旨の相談。不動産の名義がわかり、このままでは買い手が見つかっても売買の登記手続きができません。不動産の「相続登記」をしなければなりませんが、まずは相続人がわかりました。次にすべきことは?

 

第2話では「相続人調査」によって、空家の名義人の相続人がわかりましたね。相続人はA、B、Eでした。(前回のコラムを参照ください)。祖父の生まれてから亡くなるまでの戸籍一式とA,B,Eの生存確認のための戸籍一式をそろえて、相続人を確定しました。

 次にアミアカルヴァ行政書士法人がAさんをサポートするためにAさんに次のお話をしました。

 

「おじい様の名義のこの土地と建物、相続人がわかりましたが、だれの名義にしますか?Aさん、Bさん、Eさんで話し合いをしなければなりません。どなたか一人の名義にするのか、3人のうちの複数名の名義にするのかなどです。いかがですか。」

するとAさんは

「そんなん、僕がずっとこの家に住み続けてきて、固定資産税も払い続けてきました。僕にとってはだれの名義かどうかよりも、住んできてその税金を払い続けてきたという事実があるのですから、僕の名前にして、売って、お金に換える権利がありますよね?優先権ありますよね?当然ですよね?話し合いとかしなくても僕の名義にできる手続きをしてくださいよ。ほら、納税通知書は僕の名前あてにきてますからね。」と。

 実は、相続の手続きをせずにそのままにしてきた不動産のご相談やサポートで、相続人もしくは関係者の誰かが住み続けてきた場合には、アミアカルヴァ行政書士法人の相談員がお客様からよく言われることなのです。死んだ人の名義の物件に住み続けてきて、固定資産税を払い続けてきたからと言って、自動的にその人の名義になるのではありません。このケースではA,B,Eが「遺産分割協議」をおこない、「遺産分割協議書」という書類にAのものとすることを記載できなければなりません。協議書にはA,B,Eの実印が押されていて、印鑑証明書が添付されている必要があります。

 さあAさんにこのお話をしましたところ、「遺産分割協議なんてできるかどうかわからないですよ。でもしかたないですね」とのことでした。

 さて、「遺産分割協議」を進めていただくためにはアミアカルヴァ行政書士法人でなにをどのようにサポートしたらいいのでしょうか。

 次回コラムへ続きます